先日、文部科学省の事務次官が辞任に追い込まれた一因ともなった、東京医大裏口入学事件。
文科省前局長が便宜を図る見返りに、息子を入学させてもらった容疑で逮捕されました。
しかし、そんな裏口入学。
公人が行った場合でなければ無罪だというのです!?
一体どういうことなのでしょうか?
私立大学の裏口入学は、公人以外は犯罪でない!?
素人の感覚からすると、裏口入学と聞いただけで違法な印象を受けます。
ところが、弁護士法人ASK 市役所通り法律事務所の、伊藤 諭 さんによれば、
私立大学には入学に際しての寄付の文化もあり、金銭と見返りの入学と正規の寄付との間には区別がつきにくいのが現状。
「賄賂」と「寄付」の違いを明確に区別できないため、いわゆる「裏口入学」を罰する法律はありません。
今回の文科省での事件は、私立大学支援事業で便宜を図った見返りに、子供を不正入学させてもらった「受託収賄容疑」での逮捕でした。
受託収賄罪は刑法197条1項後段に定められた犯罪。
公務員が賄賂を受け取って(または受け取る約束をして)、見返りに一定の職務行為を行うことをお願いされた場合に成立する犯罪です。
今回も、裏口入学自体が罪に問われたわけではありませんでした。
さらに、私立大学においては独自の建学の精神があるため、どの受験生を合格させるかについて一定の裁量が認められています。
実際、私立の医大入試では、入試の点数以外に「多浪生の点数を低く補正している」などという噂もまかり通っているんだとか。
番組でコメントを求められた林 先生によると、今から25年くらい前、
私立の医学部向けの予備校を担当した際、合格発表前に親や理事長が受験生の点数を知っている、なんてことがあったそうです。
女子の点数を下げていた?医科大事件
さらに番組で話題に上ったのが、点数操作で女子受験生が不利な扱いを受けていたという東京医大の一件。
世間では「女性差別だ」と取り沙汰されましたが、家庭の金銭的な制約から、私立の医大を受験できる受験生は、医学部受験生全体の3%以下(あくまで、林先生の推測値です)。
選ばれた3%の中での不平等より、本人ではどうにもできない親の経済格差による不平等の方がはるかに大きな問題、という林先生のコメントが印象的でした。