よく寝たのに疲れが取れない
文部科学省の調査によると、日本人の4割が慢性的な疲労を自覚しているそうです。
「昔と比べて疲れやすくなった」「日中、体がだるい」など
多くの人が感じる疲労
そんな疲労を科学的に回復する方法として、今話題になっているのがスタンフォード式疲労回復法。
番組で放送されたIAP呼吸法など、最新の疲労回復・予防法を、スタンフォード大学専属アスレチックトレーナー 山田知生 先生のコメントともに紹介します。
目次
やっていませんか?間違った疲労回復
疲れた時はすぐに寝る
疲れた時にはお風呂にも入らずベッドへ直行
誰もがやりがちな行動ですが、スタンフォード的にはNG。
ストレスが溜まっていると、疲れを自覚しているのに眠れなかったりするからです。
こんなとき、グッスリ眠るのに効果的なのが軽い運動。
長時間のデスクワークの後などは、自律神経やホルモンのバランスが崩れています。
そこで、軽めの有酸素運動を20分ほどすると、血流が改善し筋肉のコリがほぐれ、良質な睡眠へとつながります。
疲労回復にスイーツ
疲労回復にケーキなどのスイーツを食べるのもNG。
ケーキやお菓子など、人工的に糖度を高めたものには、ビタミンやミネラルが含まれていません。
そのため疲労回復には効果が期待できず、むしろ糖質の分解に体内のビタミンが消費されてしまい逆効果となってしまうことも。
スイーツの代わりに、スタンフォードの一流選手が口にするのが、栄養価の高い皮つきのフルーツ。
リンゴや梨などです。
フルーツには疲労回復に役立つビタミンが多く、内臓に負担のかかる脂質は少なめ。
ビタミンを素早く摂取することができます。
疲れに対する誤解
疲れの原因は乳酸ではない
従来、疲労は筋肉にたまった乳酸が原因とされてきました。
しかし、最近の研究でこれは誤りと判明。
最近では、乳酸は筋肉の炎症をおさえ、疲労回復のエネルギー源と考えられるようになってきました。
乳酸にかわって注目され始めたのが脳。
最近のスポーツ医学では、疲れは脳と神経の連携が崩れて起きる現象と考えられています。
肉体だけでなく神経の使い過ぎでストレスを招くといわれています。
多くの人が抱える疲労は精神的なものがほとんど。
仕事や人間関係など、日常の様々な場面で脳がストレスにさらされています。
選手の疲労度を測るために、スタンフォードで取り入れられている方法。
それが、脈拍の測定です。
人間の身体は、疲労がたまると脈拍が不安定になります。
自覚症状がなくても、脈が乱れていたら要注意。
脈拍は疲労のバロメーターになっています。
寝だめは疲労回復の敵
スタンフォードの研究で、不規則な睡眠は副交感神経の働きを悪化させることが判明しました。
結果的に寝つきが悪くなり、慢性的な睡眠不足になります。
さらに、寝不足の選手にみられる共通点が脳震盪。
寝不足の時に体にだるさを感じるのは、脳が脳震盪と同じくらいのダメージを受けているというシグナル。
そのまま放置すると、疲労を通り越し、肥満や心臓病のリスクを高めることにも繋がります。
疲れを予防するIAP呼吸法
疲れの根本的な原因は体の歪み。
デスクワークが続くと、知らず知らずのうちに体が無理な姿勢をとり、ダメージが蓄積していきます。
そんな疲労を予防するのに効果的とされるのがIAP呼吸法です。
IAP呼吸法とは、息を吸う時も吐く時も、常にお腹を膨らませた状態で呼吸するというもの。
ポイントは中から外へ圧力をかけ、お腹を固くすること。
こうすることで体幹が安定し、姿勢がよくなります。
その結果、体の歪みが解消され、疲労がたまりにくくなるというわけです。
ちなみに、IAP呼吸法を自宅で行う時は
①,手の平を上に向けて、指先を下腹に軽く突き立てます。
②.そのままの状態でお腹を膨らませ、圧を保った状態で呼吸します。
5秒で吸って、5秒で吐くのがコツ。
10秒ワンセットを6回(ちょうど1分ですね)。
朝・晩に1セットずつ、1日2セットやるのが理想的です。
より詳しいIAP呼吸法のやり方が、8月30日放送の『主治医が見つかる診療所』で紹介されていました。
詳しくはこちらをご覧ください。
→疲れに効く5つのエクササイズ~主治医が見つかる診療所 8月30日~
疲労に負けない、バテない体づくり
疲れない体の基本、水分補給
人間の身体の70%は水分。
水分が不足すると血行が悪化し、神経の伝達に支障をきたし、身体が思うように動かなくなります。
人間が一日にかく汗の量は約1リットル。
これを補うためには、1.5リットル程度の水を飲む必要があります。
朝食に甘いものはNG
朝食に甘い菓子パンなどを食べると、血糖値が乱高下します。
これだと、1日のスタートを疲れやすい体で迎えることになってしまいます。
疲労予防にいいのが生野菜。
スタンフォードで出されるサラダは、ほとんどが生野菜だそうです。
日本では茹でるのが当然な、ブロッコリーやカリフラワーも生。
ストレスに強い体を作るためのビタミンCは、茹でると流出してしまうからです。
揺れながら立つと疲れにくい!?
立ってじっとしているとき。
知らず知らずのうちに、右足に重心をかけていないでしょうか?
人の内臓は左右非対称。
右側に最も大きな肝臓があります。
そのため、無意識のうちに右側に体重をかけてしまいがち。
いつもの癖で、立っているときに右側に重心をかけていると、体のバランスが崩れて疲労がたまります。
そのため、立っているときは、ゆっくりと軽く左右に体重移動するのがおすすめ。
揺れる意識を持つと、疲労の蓄積が避けられます。
肩こりを治すには?
肩こりの時にアプローチすべきなのは、肩回りよりも肩甲骨。
パソコンなどで前かがみの姿勢を続けると、肩甲骨の間が広がり体のバランスが崩れます。
そんな時にオススメなのが肩甲骨ムービングといわれる体操。
手を肩に置き、胸を開いて、手を前から後ろへ10~12回動かします。
30分に1回は立ち上がろう
研究によると、日本の成人が一日に座っている時間は7時間であり、これは世界一の長さ。
座りすぎは下半身の血流を低下させ、心筋梗塞や狭心症のリスクを高めます。
これを防ぐには、30分に1回は立ち上がるのが効果的。
ですが、周囲の人が仕事をしているオフィスで立ち上がることは、実際には容易ではありません。
そんなときにオススメなのがレッグタップ。
最初に、かかとを15秒、ゆっくりと上下させます。
次に、つま先も同じように15秒間かけて、ゆっくり上下させます。
こうすることで、下半身の疲労物質の滞留を防ぐことができます。
効果がない疲労回復法は?
電車の中では短時間でも座る
短時間でも座ると疲労回復には効果があります。
ちなみに、座れない時は両手でつり革を握って立つのがおすすめ。
身体のだるさを感じたらスキップする
スキップすることで体の歪みを調えることができます。
また、脳や中枢神経に刺激を与えるため、リフレッシュ効果も期待できます。
肉大盛りの牛丼を食べる
お肉は疲労回復に効果があります。
ただし、ご飯は炭水化物なので、食べすぎには注意が必要です。
疲れを感じたら昼寝する
実は、これはNG。
昼寝は慢性的な睡眠不足の原因になることも。
規則正しい睡眠が必要です。