『夫の後始末』著者 曽野綾子さんが説く、老々介護と終活のコツ


現在、日本人の平均寿命は過去最高
男性は81歳,女性は87歳にまで上がっています。

そこで今、深刻な問題となっているのが、介護をする人,される人の両方が65歳以上という老々介護。
 厚生労働省の調査によると、65歳以上の老々介護世帯の割合は約55%
 2件に1件が老々介護世帯となっています。

我が家も夫婦そろって四十路、明日は我が身と背筋に冷たいものを感じます。

そんな中、5月19日放送『世界一受けたい授業』の曽野綾子さんのお話が印象的でした。
元文化庁長官でもあった、夫の三浦朱門さんが倒れたのは2015年。
曽野さんが85歳の時に始まった介護生活は、ご主人の亡くなる2017年2月まで、1年1ヵ月に渡りました。
 この記事では、その中で曽野綾子さんが見いだされた、老々介護や終活を乗り越える術を紹介します。

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介護する人は「怠け者」がいい

介護する人は適当な人の方がいいそうです。
理由は、ちゃんとやろうとする人は、息詰まってしまうから。

何事にも「人間そんなことでは死なない」と鷹揚に構えていたそうです。
疲れているときは、身体を拭いてあげるときにも足の指や背中を拭かなかったり、「少しくらい汚れていても人間は死なない」という考えで介護していました。
また、食事もあり合わせで適当に済ませることも。

特に意識的に手抜きしていたのが、夫に呼ばれた時に自分からは行かないこと。
一見冷たく見えますが、ご主人が運動不足にならないための方法です。
甘えさせるだけが介護ではなく、あえて突き放すことでご主人のやる気を引き出したそうです。

自分がラクをするためだけでなく、介護される側のためにも、敢えて手を抜くというお話でした。

介護のために、最初に「家中のいろんなものを捨てた」

介護を始めるにあたって、とにかく家の中の物を少なくしたそうです。
まず最初に捨てたのが、リビングの棚、テーブル、椅子などの家具。
そこにベッドを入れて介護専用の部屋を作りました。

ご主人を極力歩かせるようにしていたので、床に物があると歩行の邪魔に。
余計なものを置かないように心がけ、もっとも重要視したのが介護を受けるご主人の安全でした。

1年1ヵ月の介護ののちに、曽野さんが思い至ったのが「自分の人生をどのように終わらせるか?」
そんな思いで記されたのが『納得して死ぬという 人間の務めについて』でした。

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自分で生前にやっておくべき3つのこと

生前にやっておくべきこととは
①.通帳を1つにまとめておく
②.自分で治療法を決めておく
③.夫婦や家族で十分に会話をする
の3つです。

①.通帳を1つにまとめておく
 通帳を1つにまとめておかないと、残された家族が遺産を把握するのが大変です。
曽野さんご自身も、いくつもある通帳をまとめるのに、丸1日かかったそうです。
また、後から遺産が見つかれば残された家族のトラブルにも繋がります。
残された人のために、「面倒臭くしないこと」という教えでした。

②.自分で治療法を決めておく
 曽野さんが決めている治療法は、胃に直接栄養を送る胃ろうをしないこと。
自発呼吸が難しくなった時でも、気管切開をしないこと、の2つ。

これは聖路加国際病院の元院長、故日野原重明先生の教えでもあるそうです。特に気管切開をしてしまうと、言葉を失うため、家族との最後の会話が出来なくなります。

③.夫婦や家族で十分に会話をする
 ①や②について、本人が決めていても家族に伝えていなければ意味がありません。また、自分が死んだ後に残った人に何を望むか伝えるにも、生前の会話が必要です。

曽野綾子さんが説く、老々介護と終活のコツ~まとめ~

ご主人が最後に倒れた時に、看護師さんから「今のうちに話しておいてください」と言われた曽野さん。60数年間一緒に過ごして、本当によく話したので、今聞いておくことはありません、と答えたそうです。

生前のご主人に言われていたのが、今までやりたいと思っていたこと、意味のある事ならやめるなという教え。
そうした考えのもと、曽野さんはご主人が亡くなった6日後にはオペラ鑑賞に行ったそうです。

曽野さんご自身も日常性を失わないほうがいい、と番組内でお話されていました。

これからますます増えると予想されている、老々介護世帯。
私も他人事ではありませんが、夫婦、家族でよく話し合い、皆が幸せと思える最期を迎えたいものです。

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