「それじゃこれで経過見ましょう」で何年も経過。
問診の時に患者の顔を見ずにパソコンばかり見ている。
医師の言葉には素人からすると分からない医学的な真実が隠されていました。
目次
不安になる医師の言動 その1~「様子を見ましょう」~
患者としては「時間を割いて病院に来たのに結局何もしてくれない」と感じるこの言葉。
「様子を見ましょう」
番組でアンケートをとると医師100人のうち85人は「様子を診ましょう」という言葉を使った経験がありました。
理由としては「緊急性はないが正確な病名がはっきりしない」「自然治癒が見込める」「特にすることがない」「何もしなくても問題ない」などなど。
なかには「診断を言い切って何かあると誤診で訴えられる」という理由もありました。
脳神経外科もの忘れ外来医師、奥村 歩先生は、『様子を見ましょう』という言葉を言う医者を「残念なお医者さん」と言い切ります。
奥村先生の場合、別の言葉を使っていました。
その言葉とは「現時点ではそんなに心配な状況じゃありませんよ」。
診察に際しては、医学的に経過的観察をしなければならないこともあり、そうした場合に言い換えて使っていました。
また循環器内科の杉岡 充爾先生も”ほとんど”使わないそうです。
つまり時々は使うということ。
使うのは「様子を見ましょう」で患者さんが安心できると判断した時。
例えば高血圧で通院している患者さんの血圧が、普段より少し高かった場合、「様子を見ても大丈夫ですよ」と声がけることで安心してもらうんだとか。
判断がつかないからではなく、患者さんが安心すると確信した時使っているというお話でした。
スタジオでは様子を見ましょうを使ったことがある医師は7人中5人。
使ったことがあるという、循環器内科の秋津先生。
患者さんの話を聞いて、現時点ではいくつか病名の検討がついても、時間が経たないと正確な診断が下せない時。
そうした場合に「様子を見ましょう」を使うと語ります。
ただし「様子を見ましょう」だけでなく「38度5分超えたらインフルエンザかもしれないので明日来てください」「熱が上がらずせきが出てくるようならカゼ」
かならずチョイスを示すことを心がけているそうです。
様子を見ましょうの使い方で名医が分かる
脳神経外科の上山先生は「様子を見ましょう」の使い方で名医が見分けられると語ります。
医学界で言われるのが「後医は名医」という言葉。
後から診察する医師の方が、多くの情報が得られるから正確な診断ができる、という意味です。
例えば実際には盲腸の場合でも、最初は胃がむかついたりすることも。
上山先生曰く、その段階ですぐに「『胃腸炎だと思います。薬出しておきます』という医者はヤブ」。
名医なら薬を出しておきますが、効かなかったらまた来てくださいと答えるんだとか。
名医なら最初の段階で盲腸まで見越して診察するというわけでした。
病院でよく耳にする「様子を見ましょう」
先生方は適当ではなく、理由があって使っていました。
不安になる医師の言動 その2~「”とりあえず”○○しておきましょう」~
「とりあえず検査」「とりあえず薬」という言葉を使ったことがあるという医師は100人中54人。
理由として多かったのは「診断が絞り込めず選択肢が複数ある時に使う」。
また「根拠を説明しても伝わらないので診察の流れをスムーズにするため」「面倒な患者を納得させるため」などという理由も。
スタジオで「とりあえず」を使うと答えた医師は、7人中3人。
使わないと答えた奥村先生は「とりあえず」を乱発すると、「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」と捉えられる。
医者の腕が疑われる言葉、と警鐘を鳴らします。
一方で「使う」と答えた内科・リウマチ科の中山先生。
使うといっても状況によりけりと語ります。
高血圧の方に「とりあえず」血圧測りましょうはOK。
ですが、検査なり薬の処方が必要な時に「とりあえず」を使うと患者さんを不安にさせるのでNGだそうです。
特に、風邪と診断しておきながら、「とりあえず」抗生物質を処方された場合は「反発してもらった方がいい」と語ります。
(風邪のほとんどの原因はウイルス感染症。ウイルス感染症には抗生物質は効きません)
といっても、反発ってなにを言えばいいのでしょうか?
秋津先生は「聞いたらいい」と語ります。
「とりあえず」と言われて不安を感じた時は、「今 私はどんな病名が考えられるんですか?」「抗生物質を飲んだら どんなふうに聞くんですか?」など。
聞いて嫌がる、怒るような先生のところには二度と行かなければいい、ということでした。
不安になる医師の言動 その3~患者を見ずにパソコンに向かって話す~
そもそも先生はパソコンで何を見ているのでしょうか?
実際、先生たちが見ているのは電子カルテ。
患者の症状や検査結果、過去の病気や通院履歴などが一瞥できるようになっています。
上山先生によると、患者さんが翌月来た時に「先月は○○でしたけど、今月はどうですか?」と話が出来ます。
ただし、カルテばかり見ていては患者さんは「話を聞いてくれてるのかな?」と不安になるので、絶対にやっちゃいけないと話します。
また、奥村先生曰く、患者を見ずにパソコンばかり見ているのは、一番残念な医者。
医療の原点は五感で患者さんの症状を把握して医学的に分析すること、と語ります。
奥村先生の病院では、今でも紙のカルテを使っているそうです。
電子カルテに賛成?反対?
スタジオで登壇された医師団のうち、電子カルテに賛成は7人中5人。
反対派の秋津先生は、電子カルテは単なるメモ、必要なことをメモするのに時間をとられるので反対ということ。
AIが発達し、患者さんとの問診で聞き取った必要なことだけを抽出して保存してくれる電子カルテが開発されたら賛成するという意見でした。
一方で、電子カルテに賛成と答えた上山先生。
電子カルテのいいところは後々改ざんできないこと。
一方で問題もあるそうです。
従来は看護師さんに口頭で指示すれば済んだこと、例えば尿検査や病院食の変更の指示やをパソコンで入力しなければならず、医師の仕事が激増してしまったそうです。
混んでいる病院はいい病院?
待ち時間が長い病院は流行っている病院だからいい病院。
素人からすると、そんな考えも正しいのかな?と思ったりもしますが、プロの目からはどうなのでしょう?
乳腺外科・形成外科の南雲先生は、待たされた挙句に医療の質が低いならば誰も行かないはず。
この先生に診て欲しいといって来院された患者さんが多い場合には混みあうと説明します。
また、杉岡先生も、口コミサイトなどで高評価が集まり患者さんが多く来院、結果的に混んでしまうことがあると説明します。
けれどこの口コミサイト、そもそも信用できるんでしょうか?
病院クチコミサイトの評価は信用できる?
番組に登壇した医師のうち7人中6人はNO。
NOと答えた杉岡先生は、診療と中身と患者さん個人個人の満足度は異なるからと説明します。
3、40分診察しても「話を聞いてもらえなかった」という人もいれば、5分で「話を聞いてもらえた」という人も。
名医を見つける方法は?
「いい病院なんてない」
「すべての人にとっての名医はいない」
上山先生は、そう説明します。
上山先生曰く「結婚と一緒」。
結婚は相手を信用してするもの、だから手術をするときも信用できると感じた医師なら手術を受けるべきというお話でした。