5月も終盤にさしかかり、今年もいよいよ暑い季節の到来です。
毎年、熱中症による救急搬送が激増するのが梅雨明け。
体が暑さに慣れていないため、熱中症患者が急増するそうです。
熱中症は自宅でも発症するのが怖いところ。
「あれ?」と思った時には、頭痛や吐き気を感じたり、
また、水分補給も間違った方法だと下痢になったり・・・・
きちんとした治療をしないと、みるみるうちに症状が悪化していきます。
そこで、熱中症によって下痢や吐き気を感じた場合の原因や対処法,予防法を紹介したいと思います。
目次
熱中症に伴う、下痢,吐き気の原因は?
熱中症に伴う吐き気の原因
>熱中症に伴う吐き気の原因は、体温の上昇によって、脳やその他の臓器が正常に機能できなくなることにあります。
人間は普通に生活しているだけでも、体内から熱を生み出しています(「産熱」といいます)。
こうした「熱=体温」は、汗の蒸発や皮膚表面の血管から放熱され(「熱放散」といいます)、普段は正常値を保っています。
熱中症は、この産熱と熱放散のバランスが崩れた状態。
熱中症の原因は、高温・多湿の場所で長時間過ごすことです。
周囲が高温ですと体温が空気に逃げません。また湿度が高いと、汗が蒸発せず、やはり体温を下げることができません。
結果として体内に熱がこもります。
暑いところで体温が上昇すると、人体は体表の血管を拡張して皮膚への血液量を増やし、空気中に体温を逃がそうとします。
このとき、血液量は変わらずに人体の一部の血管だけ拡がるわけですから、体内では血液量が不足する器官が出てきます。
特に立ったままの姿勢を維持していると、血液が下半身に集まるので脳への血液量が不足して、熱失神と呼ばれる一過性の失神にることも。
失神という深刻にとらえられがちですが、熱中症の重症度(全部で3段階)では一番軽度の部類に属します。
加えて、皮膚表面の血管に血液が集まった状態のまま運動や仕事を継続すると、血液は筋肉に優先的に流れ込みます。
これによって心臓に戻る血液が減少し、心臓の鼓動によって体の各器官に循環する血液量が減少します。
すると、臓器が本来の働きをできなくなって吐き気や頭痛、めまいといった症状が発生します。
これらの症状をあわせて従来は熱疲労と呼ばれていました。熱中症の重症度では2番目に重篤な部類に属します。
本来ならば体温を下げるために、身体は積極的に水を欲しがるはず。
にもかかわらず、吐き気を感じるということは、嘔吐によって体外に水分を排出しようとしているわけですから、臓器に異常が生じていることは明らかです。
早急な対策が必要です。
熱中症に伴う下痢の原因
体温が上がると、汗をかきます。
これは人体が上がりすぎた体温を冷却しようとしているため。
このとき、水分を補給しようとして水だけを飲むと、塩分などの電解質が体内で不足します。
そこで、今度は体内のミネラル濃度を保つため、水だけを排出しようとして下痢を発症してしまいます。
もっとも、この場合の下痢は、体内のミネラル濃度を一定に保とうという脳のシステムが、正常に機能したために生じたもの。
塩分などの電解質を含んだ飲み物で正しく水分補給を行うことで回復が可能です。
(吐き気があるときは、嘔吐の原因にもなるので無理な水分補給は禁物です。すぐに病院に行ってください)
これよりもさらに怖いのが、脳に異常が生じて下痢を起こしている場合。
汗をかいたにも関わらず水分を補給せずにいると、身体はそれ以上汗を作ることが出来なくなります。
すると体温は上昇する一方。
今度は脳や臓器が正常に機能しなくなります。
こうなると3段階に分類される熱中症の症状の中でも、もっとも重症のレベルにあたります。
従来の区分で熱射病と呼ばれていたこの段階では「発汗停止」のほかに「41℃を超える異常な発熱」「意識障害」といった重篤な症状が発生することも。
仮に意識があったとしても、予断を許さない状況です。
直ちに医療機関で受診してください。
吐き気を感じたときの対処法
吐き気を感じた場合、多くの専門サイト様で「医療機関での診察を受けること」を推奨されていらっしゃいます。
頭痛と同じく、吐き気は熱中症の症状としては中程度
ただし、頭痛よりも深刻な事態です。
水分補給は口からするしかありませんが、吐き気を感じる場合は嘔吐の原因になることも。
無理に飲んで吐き戻せばかえって体内の水分を失うことになります。
特に、意識を失った状態で嘔吐すると、吐しゃ物で窒息する恐れもあります。
無理せず、すぐに病院に行きましょう。
下痢になった時の対処法
下痢になった場合は、熱中症の症状のレベルに合わせて対処法が異なってきます。
まず、脳の働きが正常で体のミネラル濃度を保つために下痢になっているだけの場合。
体内のミネラル濃度が下がると、足の筋肉がこむら返りを起こしたりしますが、一般的にはそうした症状の前に、胃のあたりが痙攣するような感覚が生じるそうです。
この場合、は塩分などの電解質を含んだ水分を摂ることで回復できます。
もっとも過信は禁物。
下痢以外にも頭痛などの症状が出ていたら要注意です。特に吐き気を伴う場合、上記のとおり、口からの水分摂取むしろ危険!!
直ちに病院に行くようにしましょう。
一方で、脳や内臓の機能に異常が生じて下痢になっている場合。
熱中症の症状の分類では、最も重篤とされるレベルです(従来は熱射病と呼ばれていました)。
「発汗停止」や「41℃を超える異常な発熱」「意識障害」といった症状が現れる容体にまで症状が悪化してしまうと、素人では対処できません。
直ちに救急車を呼んでください。
救急車が到着するまでの間、身体を冷やすことは素人にもできます。
首,腋下,鼠径部など、体表近くに太い血管が通っている個所を冷やすことで、効果的に体温を下げることができます。
このとき特に重点的に冷やしたいのが、首の後ろ。
ここを冷やすと、脳に送られる血液を冷やすことができますから、脳に生じる障害を最小限に抑えることが期待できます。
熱中症に伴う、吐き気,下痢を予防するには?
頭痛,吐き気,めまい,悪寒・・・
熱中症の症状は色々ありますが、原因はいずれも、体温の上昇と水分不足。
したがって、これを防ぐことが熱中症の予防にもなります。
まず、高温の場所にいると、皮膚表面に血液が集中します。
屋内ならエアコンは我慢せずに使い、屋外なら日陰の風通しの良いところで過ごしましょう。
電気代が気になるかもしれませんが、万が一熱中症で入院すれば電気代とは比較にならないほどのお金が飛んでいきます(>_<;)
次に、重要なのが水分補給。
成人だと、気温24℃,湿度50パーセントの室内にいるときでも、1時間あたりに100nl程度の水分が失われています。
こまめに水分補給しましょう。
熱中症対策のドリンクは自作できます。材料費も500mlあたり約20円とお手頃な値段で作れますから、ぜひ参考にしてみてくださいね。
→熱中症対策の飲み物を手作りしよう!!20円で作れるドリンクと温くならない冷やし方
熱中症の症状 下痢や吐き気を感じたら?~まとめ~
最後に、熱中症で下痢や吐き気を感じた時の対処法と予防法のポイントをまとめておきます。
- 吐き気の原因は、体温上昇と水分不足による臓器への血流不足
- 吐き気を感じたのなら脳の機能に異常が発生中!! すぐに病院へ!!
- 症状に関わらず予防法は基本的に同じ。涼しいところで、水分補給を。
- 水分をとるときは、塩分の入ったものを。真水だけだと、下痢,痙攣を起こします。
熱中症対策のドリンクは、ご家庭でも作れますから、暑くなるこれからの時期には、ご自宅の冷蔵庫に常備されることをオススメします。
→熱中症対策の飲み物を手作りしよう!!20円で作れるドリンクと温くならない冷やし方
また、熱中症は時として自覚症状なく進行するのが怖いところ。
私が以前パート勤めしていた時に、駐車場の警備員さんが教えてくれた対策が
・朝、お味噌汁を飲むこと
・顔が真っ赤な人を見つけたら声をかけてあげること
のふたつ。
お味噌汁は塩分補給になります。また顔が赤いということは皮膚の表面に血液が集まった状態。
熱中症の初期症状の疑いがあります。
この記事を書いていて思い出したのですが「炎天下で、屋外で働く人の話はためになるなぁ(*’o’*)」といまさらながら感心しています(笑)
これからますます暑くなり、熱中症が怖い季節がやってきます。
室温の管理と、こまめな水分補給を万全にして、暑い夏を無事に乗り切りたいですね。
くれぐれも、むやみな素人判断は禁物です。迷ったら直ちに医療機関で受診してください。