お肉に含まれるたんぱく質は、筋肉・骨・皮膚など、身体の約20%を占める大切な成分。
特に高齢者の場合は寝たきりを防ぐなど、肉の摂取量と平均寿命は比例関係にあります。
といっても、ただ肉を食べればいいというわけではありません。
この記事では、お肉の種類や部位ごとの健康効果、より効果的な食べ方・調理法を管理栄養士の森 由香子 先生のコメントともに紹介します。
目次
お肉を食べれば脂肪燃焼?
カロリーが高くて太るイメージのお肉の脂。
けれど、『あなたの寿命は食事が決める』の著者、管理栄養士の森 由香子 先生は
肉の中に脂肪の燃焼を助ける成分が入っているものがある、と語ります。
牛,豚,鶏の中で脂肪燃焼に効果があるのは牛肉。
赤身に含まれるL-カルニチンに、脂肪の燃焼を助ける効果があるためです。
同じ100g中のL-カルニチン含有量を比べると、豚肉の70mg、鶏肉の30mgに対して、牛肉は130mg。
理想の摂取量は、1日100g
ダイエットには赤身肉がオススメです。
9月13日に放送された、主治医が見つかる診療所では、
牛肉よりもダイエットに効果があるお肉として、羊肉が紹介されていました。
L-カルニチンの含有量は、100g中210mg。
10日間の羊肉ダイエットに挑戦したDJ KOOさんは、-3.65kgのダイエットに成功していました。
詳しくは、こちらをご覧ください。
→羊肉でダイエット!! L-カルニチンの上手な摂り方~主治医が見つかる診療所~
脂をより多くカットできる焼肉
お肉を湯通しすることで脂が落ち、よりヘルシーなイメージのあるしゃぶしゃぶ。
ですが、焼肉の方が脂が落ちやすい調理法です(脂カット率は焼肉の25%に対して、しゃぶしゃぶは2%)。
秘密は肉を加熱するときの温度。
脂は温度が高ければ高いほど、溶けて液体に変わります。
そのため、高温で調理する焼肉は脂をより多く落とすため、ヘルシーに食べることが出来るわけです。
部位ごとに違う栄養素
焼肉で食べられる牛肉。
実は部位ごとに様々な健康効果がありました。
タン,ロース,ハラミ,カルビ、それぞれの健康効果をみていきましょう。
疲れをとるならタン
独特な食感が癖になるタン。
疲労回復に効果的なお肉です。
タンに豊富に含まれるタウリンは肝機能を高めてくれます。
肝機能が良くなると疲労回復が早まり、身体から疲れが素早く抜けます。
ダイエットにはロース
赤身の王様ロースは、L-カルニチンが豊富。
脂肪を燃焼してくれることで代謝を良くし、体力アップにもつながります。
ちなみに、L-カルニチンを多く摂取できる焼き加減はレア。
L-カルニチンは熱に弱く、加熱すると壊れてしまうからです。
ハラミで高血圧予防
柔らかい食感が魅力的なハラミ。
実は高血圧予防に効果が期待できます。
ハラミに含まれるカリウムは、体内の余分な塩分を排出し血圧を下げてくれます。
そのため、高血圧以外にも、むくみの改善に効果的なお肉です。
美肌の王様 カルビ
焼肉の王様、カルビ。
美容ビタミンともいわれるビタミンB2が豊富に含まれていて美肌効果が期待できます。
ビタミンB1の宝庫 豚肉の上手な食べ方
揚げて良し、焼いて良し、煮て良し。
肉界のオールラウンダー豚肉。
豚肉の特徴はビタミンB1が豊富なこと。
その量は、牛肉や鶏肉のおよそ10倍。
ゴマやうなぎ、舞茸、パセリなどをしのぎ、あらゆる食材の中でトップに君臨します。
ビタミンB1は体内で糖質をエネルギーに変換してくれる物質。
疲労回復に絶大な効果を発揮してくれます。
ビタミンB1を上手に摂れる調理法
生姜焼き、肉じゃが、しゃぶしゃぶのうち、ビタミンB1を上手に摂取できる料理が生姜焼き。
ビタミンB1は水溶性。
調理の過程で煮たり茹でたりする肉じゃがやしゃぶしゃぶは、ビタミンB1が溶け出してしまいます。
生姜焼きがさらに有利な理由が、付け合わせの玉ねぎ。
玉ねぎに含まれるアリシンが、ビタミンB1の吸収を約10倍にまで高めてくれます。
けれど、熱に弱いのがアリシンの欠点。
そこで、森 先生が提案する、アリシン効果はそのまま
疲労回復効果抜群の生姜焼きレシピがこちらです。
①.用意するのはビタミンB1が多いロース肉
②.ロース肉に小麦粉をまぶします(こうすることでビタミンB1が流れにくくなります)
③.玉ねぎをおろし金ですりおろします。
(空気に触れる面積が多いほどアリシンが増えます。また、すり下ろすことで熱に弱いアリシンの調理時間を短縮できます)
④.ロース肉を両面焼きます。
⑤.④の間に、醤油,酒,みりん,しょうがに、すりおろした玉ねぎを混ぜておきます。
⑥.焼けた肉に、⑤をさっと絡めたら完成です。
安くて庶民の味方 鶏肉の上手な食べ方
「安い」「ヘルシー」「カロリー少なめ」
イメージの良い鶏肉ですが、そんな鶏肉も牛肉同様。
部位ごとに含まれる栄養素が違いました。
高血圧予防に効果的 ムネ肉
サラダチキンやバンバンジーでもおなじみのお肉です。
鶏肉のなかでも、たんぱく質の含有量はトップクラス。
さらに血圧の上昇を抑えるカリウムも豊富に含まれています。
鶏むね肉を柔らかく仕上げるポイントが、包丁の入れ方。
むね肉を切る時は、最初に肉の繊維と平行に切っていきます。
それが済んだら、今度は繊維と直角方向から、そぎ切りにします。
こうすることで、筋が短くなり柔らかい食感になります。
シミ・シワを予防する もも肉
もも肉には、シミ・シワを予防するセレンやビタミンAが豊富。
ビタミンAは脂溶性のビタミンのため、脂と一緒に摂ると吸収率がアップします。
鶏もも肉の代表的な料理が、唐揚げ。
衣につけて揚げるため、栄養を閉じ込めることが出来ますが、良いことばかりではありません。
その落とし穴が糖化。
油で揚げることで出来る焦げが、実は糖化物質です。
これが体内でシミやシワを増やす原因に。
そこで、シミ・シワの救世主となってくれるのがレモンです。
もも肉の下ごしらえのときにレモンをかけておくと、クエン酸によって高温調理をしても糖化物質が作られにくくなります。
レモンをかけない場合と比較すると糖化物質の生成量は、およそ半分。
老化を抑えるには、揚げる前にレモンをかけるのがポイントです。
ちなみに、鶏皮には骨を丈夫にしてくれるビタミンKが豊富に含まれています。
コラーゲンの豊富な手羽元
「コラーゲンは食べたり飲んだりしても肌には届かない」
その理由は、コラーゲンが体内に入るとアミノ酸に分解されてしまうことにあります。
しかし、ビタミンCと一緒に食べると、分解されたアミノ酸と結びついてコラーゲンが再生されます。
そんなビタミンCが豊富な食材がパプリカ。
その含有量は、レモンの約8.5倍もあります。
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