ドラマ『あなたには帰る家がある』原作のあらすじ、ラスト(ネタバレ少し)


4月13日(金)夜10時からTBSでスタートする『あなたには帰る家がある』
山本文雄さんの原作小説を読みましたが、とても面白い(興味深い)小説だったので当ブログでも紹介したいと思います。

注意
 原作小説をまだお読みでない方、そして発行元である集英社様,角川書店様,および今後Blu-ray化も検討されていらっしゃるでしょうドラマの制作関係者の方々の御意向にも配慮し、当サイトでのあらすじの紹介は簡単なものに控えさせていただきます。
 座談会形式で登場人物の会話を書き起こしたり、心情、情景を逐一文章化するような態様のネタバレは御座いませんので、予めご了承ください。

スポンサーリンク


『あなたには帰る家がある』 あらすじ(ネタバレ少し)

 主人公のひとり、佐藤真弓(28歳)は大学卒業後商社に就職します。
 仕事が出来た真弓は責任ある仕事を任せられるようになりますが、連日の残業や苦情処理に精神的に追い詰められていき、妊娠を機に退職、専業主婦になる道を選びます。
 しかし、毎日食事と子供のことだけを考えて過ごす日々、社会と関わっていない不安感,孤独感から、娘の麗奈が1歳になる直前、パートで保険の外交員になることを決心します。

 夫の佐藤秀明(26歳)は真弓が働くことに同意します。しかし、結婚して家庭に入ることは真弓の希望でした。望むものは何もかも手に入れたはずの妻がどうして今更働きたいと思うのか、秀明は疑問を抱かずにはいられませんでした。
 
 真弓が働くようになると、弁当作りや子守りなど、夫婦の生活に変化が訪れます。子供時代から優柔不断な性格が災いして厄介ごとを押し付けられることの多かった秀明は、自分のこれからの人生に虚しさを抱くようになります。

 そんなとき、秀明の働くハウジングメーカーに茄子田太郎(33歳)が妻の綾子と見学に来ます。
 秀明と綾子の二人は出会った当初から、互いに魅力を感じます
 資料や設計図の受け渡しのために顔を合わせるたび、二人はより親密になっていきました。

 一方、保険の外交員として少しずつ成果を出していく真弓
 あるとき、営業で中学校の職員室に訪れます。
 そこには、放課後ただ一人残って残業をしていた太郎がいました。

『あなたには帰る家がある』の結末・・・というか感想

 ここまであらすじを書いてきたので、結末も書こうと思っていたのですが・・・
 ここに来て筆が止まってしましました。

 というのもこの小説、山場を越えた後の登場人物の、その後が必ずしも明確でないからです。
 キャラクターによっては第三者からの伝聞という形で、その後が語られますが、その内容が真実なのか?
 また、キャラクター本人のセリフについても読者は額面通り受け取っていいのか?迷うシーンもあります。

 ここから先は、「○○は△△した」と箇条書き形式の断定的な説明だと、これから小説,ドラマをご覧になる方にミスリーディングを招く恐れもあるでしょう。
 そこで、小説を読んだ私の感想を記したいと思います。
 「ラスト」や「結末」「ネタバレ」ではありませんが、お読みいただければ終盤の大体のイメージは掴んでいただけるかと。

スポンサーリンク


お嬢さんを必ず幸せにします

 劇中、秀明と太郎の二人が婚姻に際してパートナーの両親に伝えた言葉です。
 『仕事でなければ口をききたくないタイプ』『若造』、二人の男は初対面から互いに強い嫌悪感を抱きます。
 パートナーの幸せを願い、それぞれの考えで結婚生活を送る二人
 しかし、真弓と綾子の二人が幸せを感じることはありませんでした(少なくとも綾子に関しては『本当の幸せ』を得られなかったと告白するシーンがあります)。

 共通するのは「自分が努力して妻がこうなれば、妻は幸せだろう」という考え方
 さらに、不幸にも共通していたのは「こうなれば」の部分が、それぞれの妻が求めた幸せの形ではなかったということ

 体形や服装、周囲に対する言動まで対照的な二人ですが、ある意味では妻に対する向き合い方が共通していた(私は読んでいてそう感じました)のは皮肉というほかないでしょう。

それで、君は幸せなのか?

 物語終盤、二人の女はそれぞれが大きな決断をします。
 どちらの決断も、社会的に見て賛否両論意見が別れるようなものです。
 
 そして、真弓の決断を聞いた後に秀明が投げかけたのが上の言葉
 秀明からの問いに真弓が答えることはありませんでした。

不幸なのか、幸福なのか、よく分からなかった。

 大きな決断をしてから半年後の真弓の心情です。
 しかし、ここまで読んできて気になるのは、真弓が幸せかどうかよりも、その人間的成長でした。
 
 物語序盤、私も同性ですので、真弓の秀明に対する思いには共感を抱きながら読んでいました。
 一方で同性として真弓のことを「幼稚だな」とも感じました。

 真弓は必要に迫られてパートに出たわけではありません。
 決して裕福ではありませんでしたが、ハウジングメーカーの正社員としての秀明の給与は親子3人で暮らしていくのに足らない額ではありませんでした。
 真弓はあくまで自分の意志で働きに出たのです。

 ところが物語中盤、喧嘩した際に秀明に投げかけたのが次の言葉

私が働くのが気に入らないの?だったら何で最初っから反対しなかったのよ。ヒデが働いてもいいって言ったのよ。いいってことは、協力してくれるってことでしょう?
引用:小説『あなたには帰る家がある』 平成25年6月20日 文庫版初版


 
 物語中、回想シーンも含めて真弓はいくつもの決断をします。
 しかし、上手くいかなくなる度に周囲に泣きつきます。
 乱暴な言い方ですが、責任転嫁してしまうのです。

 そんな真弓ですが、終盤が近づくにつれて変化がみられるようになります。
 そして、先ほどの大きな決断後
 真弓が悩み、ときに傷つく様子が描かれています。
 しかし、真弓がそれを誰か別の人間のせいにする様子はありません。
 肚が座った、とでもいえばいいのでしょうか。
 真弓の変化が感じられるラストでした。
 

 『あなたには帰る家がある』は二組の家族、四人の大人の群像劇です。
 しかし、それと同時に一人の女の人間的成長を描いた記録―この言い方が安っぽいかもしれませんが―ではないか?
 以上が、小説版を読んだ私の感想です。

スポンサーリンク


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする